イライラをコントロールしてみませんか?~アンガーマネジメントを知ろう!~
アンガーマネジメントは、最近では様々なメディアでも取り上げられ、知名度が高まっています。注目度が年々高まるアンガーマネジメントについて今回は2回にわたってご紹介します。
なぜアンガーマネジメントが注目をされているかというと、ハラスメント防止や職場環境の改善のためには不可欠なものだからです。
上司のついカッとなって出た「何してるんだ!」という一言がハラスメントだとみなされたり、その一言で他の職員にも恐怖感を与えてしまうと、職員の士気の低下だけではなく、職場環境の悪化により離職にもつながってしまいます。
アンガーマネジメントとは、怒りの感情をコントロールするための心理トレーニングです。
怒りの感情をトレーニングすると聞くと、「怒ってはいけない」と誤解されてしまうことも多いのですが、怒らなくなることが目的ではありません。
アンガーマネジメントの目的は、怒る必要があるものには上手に怒り、怒る必要がないことは怒らなくて済むようになる。その線引きができるようになることです。
そもそも、アンガーマネジメントは1970年代にアメリカで開発された怒りの感情をマネジメントするための感情理解教育プログラムです。4~9歳くらいの子供を対象に、学校の授業に取り入れられたことが始まりです。
これくらいの年齢の子供は色々な感情をどう表現してよいかわかりません。
例えば、子供が泣いた時、なぜ泣いているのかわかっていません。これを「今は悔しくて泣いたんだね」と感情の表現を教えてあげる。そうすれば「僕、悔しいんだ」と表現ができます。つまり、自分が感じた感情がどのような感情なのかに気付くことができます。その感情を適切に表現することができるようになれば、すべてを怒りで表現するのではなく、より多くの表現で自分の感情をより適切に伝えることができるようになり、怒りの感情だけに頼らないコミュニケーションを取ることができるようになります。
では、怒りとは、なぜ発生するのでしょうか。
怒りは第二次感情と言われています。怒りは単独で存在するものではなく、必ず第一次感情が存在します。例えば、「不安だ」「さみしい」「苦しい」と言ったマイナスの第一次感情が怒りの奥に隠されています。
感情のコップをイメージしてみてください。一次感情が感情のコップにどんどんたまっていきます。
「今日はご利用者からのコールが多い…大変!」
「急いで駆け付けたのに、急ぎの用事でもなかった…虚しい」
日々、忙しい中で心に余裕がなくなってくると、心のコップにマイナスの感情がたまっていきます。
そんな中、「先輩!佐藤さんのとろみってどのくらいでしたっけ?」と質問に来ました。
あなたは、バタバタと移動している途中でしたが、足を止めて、「何度言ったら覚えるの?こないだも教えたよね!?いい加減にしてよ!」と怒鳴ってしいます。
マイナスの第一次感情がどんどんコップにたまり、あふれ出てしまう。その時に発生するのが第二次感情である怒りです。
怒りには4つの特徴があります。
①身近な対象に程強くなる
家族や恋人、同僚など身近な人に程怒りは向きやすいといわれています。
「わかってくれるに違いない」という思い込みから、自分の意に反することが起こった時に、怒りの感情が出てきます。
②高いところから低いところへ流れる
立場や役職が上の人から下の人へ、発言力の強い人から弱い人へというイメージです。
例えば、職場で施設長に怒られたリーダーは、部下の職員に怒りを向けます。そのリーダーは怒りを抱えたまま家に帰り、奥様に怒りを向けます。それでイライラした奥様は子供へ…
このように怒りは、自分が関係ないと思っているところにも影響を与えてしまう可能性があります。
③伝染しやすい
嬉しい・悲しい・楽しいも含めて感情は周囲に伝染すると言われています
職場で近くの席の人電話口で怒鳴っている、職場の空気がピーンと張りつめませんか?
隣の席の同僚が上司に怒られている…周りまで重い空気になる
一人の怒りが、職場全体にマイナスな影響を与えてしまうと、働きづらい職場環境になってしまいます。
④エネルギーになる
怒りは行動を起こすモチベーションにもなります
思うような結果を出せない自分に怒り「よし結果を出してやる!」「今に見ていろ」と思って奮起することにつながります。
怒りは、感情のままに表現してしまうと周りを傷つけ、悪影響を与えてしまいますが、プラスの影響も与えることもできます。
突発的な怒りに振り回され、周りも自分自身も辛い思いをしなくてもいいように、怒りと建設的に向き合っていくことが必要なのです。
次回は、怒りと向き合っていくためのコントロールスキルについてご紹介します。