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レジリエンスとは?折れない心を鍛える6つの方法

目次

レジリエンスとは、困難や逆境に直面した時に、しなやかに立ち直り回復する能力や力を意味します。日々の生活の中で心が折れそうになったり、ストレスで心が疲弊してしまったら折角の能力も発揮することが出来ず、前に進むことも困難になってしまいます。本文ではストレスフルになりやすい現代社会における今こそ、個人や組織の成長に欠かせないレジリエンスのスキルを備え、日々のプレッシャーと上手く付き合っていく事の必要性と意義をご紹介します。

レジリエンスとは何か?基本の意味と背景

ビジネスの現場におけるレジリエンスとはどのような意味があり、それがなぜ重要とされているかみなさんはご存知ですか?

 レジリエンスの基本的な意義

レジリエンスの語源は、ラテン語の「resilire(跳ね返る)」であり、基本的な意味としては困難な状況にあっても精神的健康を維持できる能力、ストレスや困難に直面しても心理的安定を保ち、それを乗り越えて成長する力、様々な環境や変化に順応し、その中で生き延びる力を指し、回復力やしなやかさのことです。

ビジネスにおいては個々の従業員や組織全体がトラブルに見舞われた時に発揮される力を指し、危機への対応力を表す言葉と考えられています。心理学では、困難や逆境に直面した時に、心理的な健康を維持する力や回復力を意味し「精神的回復力」とも呼ばれます。また、レジリエンス教育は困難や逆境に立ち向かう教育のことで、失敗や逆境に直面しても、立ち向かいそこから学び成長する力を養うことを目指します。健康分野でおいては精神的な回復力や適応力、抵抗力を意味し、困難な状況を乗り越える力ともいえるのです。このように各分野においてのそれぞれの定義があります。

 レジリエンスが注目される背景

レジリエンスが注目される理由として、ストレス社会やコロナ禍、労働力不足などによる社会の変化や課題などです。困難な状況に直面した際に立ち直る力として、このレジリエンスが注目されるようになってきたのです。

レジリエンスがビジネスや個人に与える影響

レジリエンスが高い人・低い人の特徴は以下の通りです。 まずは自身の特徴や傾向を見つめてみましょう。

 レジリエンスが重要視される理由

ストレス社会やコロナ禍といった変化の時代にある中で、逆境や困難などの強いストレスに直面した際に、それに適応できる精神力=レジリエンスこそが、企業や組織が困難やトラブルに直面した際にも、迅速に立ち直り、事業の継続・成長させる能力があるということから、重要視されるようになったのです。

 レジリエンスの高い人・低い人の特徴

高いレジリエンスを持つ人の行動特性として、次のような特徴が挙げられます。

  • 困難や逆境に立ち向かう力がある
  • ストレスに過剰に反応することなく、受け流すことが出来る
  • 柔軟な発想で、物事を捉えることができる
  • 自分の強みを生かして活躍できる
  • 失敗から学び、成功体験に繋げることができる
  • 柔軟な発想で物事を捉えることが出来る
  • 弱みを受け入れ、成功体験に繋げることが出来る

一方、レジリエンスの低い人の課題は次の特徴が挙げられます。

  • 困難な状況に適切に対処できない
  • 失敗を繰り返し、負のループに陥りやすい
  • 自己評価が低く自信が持てない
  • ストレスに圧倒され、感情的になりやすい
  • 問題解決能力が不足している
  • 孤立感を感じ、他者に助けを求められない
  • 悲観的・希望を持てない
  • 自己否定的、無力感に陥りやすい

 

レジリエンスの構成要素:6つのコンピテンシー

レジリエンスを高めるために必要な能力や資質のことを、レジリエンスコンピテンシーと言います。構成要素の6つについてご紹介します。

 自己認識と自制心

自己認識はレジリエンスを高めるうえで重要な要素です。自分の感情や思考パターン、価値観、強みや弱みを正しく認識することで、ストレスや困難な状況に適切に対処できるようなります。またレジリエンスにおける自制心とは、感情や思考、行動を状況に応じてコントロールする能力でセルフコントロールとも呼ばれ、冷静に対応する力のことです。

 精神的柔軟性と実現的楽観性

精神的柔軟性が高い人は、物事に対して柔軟に様々な視点から捉え、視野を広くとることができます。また現実的楽観性は、困難な状況でも前向きな姿勢を持ち続け経穴出来る問題に集中する能力です。冷静に状況把握をし、上手く行くはずという希望や信念のもと前向きでポジティブな思考を持つことが出来るメリットがあります。

 自己効力感と人のつながり

自己効力感には、対人関係において役に立つ社会的自己効力感といったものがあります。これが高い人は他者との信頼関係を築きやすく、周りの人とのトラブルのリスクが低くなるのです。つまり、周囲に敬遠されるような人であっても、自分なら友好関係を築けるはずといった自分を信じる力を持ち、社会の中でうまく立ち回れることが出来るのです。これは社会的支援を得るためにとても重要なことなのです。

レジリエンスを鍛える6つの方法

ここでは、これまでに述べたレジリエンスの構成要素を鍛えるための具体的な実践方法となる「折れない心を鍛えるための実践的な方法」6つについて解説します。

 1.自己認識を深める

自己認識を深めるためには、自分の感情や思考パターンを把握することが重要です。なぜなら、自分自身を知ることで冷静な対応を取ることが出来、このことがとても大切だからです。そのために、他者からフィードバックをもらうなど自己分析やジャーナリングをすることがとても有効です。

 2.自制心を鍛える

自制心を鍛えるためには、感情に振り回される冷静に判断できるように深呼吸やポジティブな言葉を意識したり、自分を癒させることを行うことが重要です。ストレス改善の呼吸法として、「腹式呼吸」や「長生き呼吸」があります。ストレス下においても瞑想や深呼吸、自己肯定的な言葉を思い出し、心のコントロールを強化していきます。こういった方法で感情的にならず、冷静に対処する力を養っていきます。

「腹式呼吸」:
鼻から深く息を吸い、おへその下の丹田に入れ、ゆっくり細く長く息を吐くように下腹部の動きを意識して呼吸する
「長生き呼吸」:
口から6秒かけて息を吐き、鼻から3秒かけて息を吸う

 3.精神的柔軟性を身につける

精神的柔軟性を高めるためには、瞑想や呼吸法などにより、意図的に「今この瞬間」に注意を払い、評価や判断をせずにありのままの状況を観察する心の状態のマインドフルネスの実践や、自分の考えを「     」にあてはめ、『わたしは「     」と思った』という文章にすることで、自分の考えや感情に距離をおく工夫が有効です。つまり、固定観念を手放し、柔軟な考え方を持つようにするのです。そのために、リフレーミング(視点を変える練習)やオープンマインドの習慣化をしていきます。

 4.現実的な楽観主義を持つ

現実的な楽観主義とは状況を冷静に把握し、ポジティブな面とネガティブな面を冷静に認識したうえで、将来に対して希望を持ち前向きな姿勢を保つことです。このように逆境の中でもポジティブに前に向く心構えを持つことが大切です。楽観主義は盲目的ではなく、現実を直視しながら次の一手を考えるということを意味しています。つまり、課題や困難をしっかり見つけ、それがどの程度の物かを検討し、目的達成には困難を乗り越える必要があると覚悟を決めるといったことがポイントになるのです。

 5.自己効力感を高める

自己効力感を高めるためには、小さな成功体験を積み重ねることで「自分なら出来る」という自信を養うことが大切です。例えば、達成可能な短期目標を設定し、それを具体的に計画し、目標達成の過程で成功体験を積み重ねます。その目標達成の過程を記録し、振り返りを習慣化します。自分で何かを達成した経験を積み重ねることで自信を深めることが出来、そうすることで自己効力感を高めることが出来るのです。   

 6.信頼できる人とのつながりを築く

周囲からのサポートを得ることは、心の回復力であるレジリエンスを高めるうえでとても重要です。それは、困難な状況に直面した際、支えや助けを得られることで乗り切れる可能性があるからです。そのためにも、信頼できる友人や同僚、専門家との信頼関係の構築をしておくことは大切です。

レジリエンス向上に役立つツールとリソース

レジリエンス向上のためには、書籍やアプリや専門家のサポートを得ることも有効です。
以下に、ご紹介いたします。

書籍:
「レジリエンスは身につけられるか」 東京大学出版会
「折れない心のつくりかた」 一般社団法人日本ポジティブ心理学協会(JPPA)
「レジリエンスが身につく 自己効力感の教科書」工藤紀子 総合法令出版  など

アプリ:
Awarefy
ジトレ!
携帯アプリ  など

専門家のサポート:
カウンセラーやコーチへの相談や以下のような機関での受講や相談も有効です 
例:ポジティブ心理カウンセラー協会
日本レジリエンスカウンセリング協会   など

医療機関では、主に精神科や心療内科医でカウンセリングを行っています


また、実際に研修に参加して講義を受け、ワークや仲間と意見交換の時間を持ちながら学ぶという方法があります。一人で学びに向き合うよりも、事例を交えた話を実際に聞き、それに基づいてコミュニケーションをとりながら課題に取り組むことで、自身の強みや課題がより明確にわかります。また、対人関係を高める方法や柔軟な捉え方を身に着ける方法、解決のための実践方法の理解に繋がるため、研修は何よりとても有効です。


日本教育クリエイトでは、レジリエンス研修を実施しております。
医療機関向けレジリエンス研修はこちら>>
介護事業所向けレジリエンス研修はこちら>>

まとめ

レジリエンスは、困難な状況やストレに直面した時に、上手く立ち直り、適応する能力のことです。ストレスが溜まりやすい現代社会において個々人や組織が成長するにあたり、心の回復力、柔軟性、適応力は欠かせないスキルです。これまでに述べた通り、レジリエンスは鍛えることができます。良好な人間関係を築くために信頼できる人との対話を意識してみるなど、出来ることから先ずは始めていく事が大切です。レジリエンスを鍛えることで、自分や組織の成長を目指すことに繋げていけるのです。

 

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