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若手職員の早期離職を防ぐ3つの対策。原因や効果的な対策を解説します。

若手職員の早期離職を防ぐ3つの対策。原因や効果的な対策を解説します。


今や日本社会における労働人口の減少は深刻化しており、あらゆる業臾業界で「人手不足」が叫ばれています。
ただでさえ働き手が少ないのに、追い打ちをかけるかのごとく人が辞めていく…。
せっかく入ってきた、今後の組織を支えていくはずの若手職員の早期離職、このことに関する対策はもはや最重要課題と位置付けても良いと言えるでしょう。

若手職員の早期離職の現状

ここ数年、いわゆるコロナ禍と呼ばれるなかでの若手職員の離職状況はどのようになっているでしょう。
厚生労働省が公表するデータを参考に読み解いてみましょう。

若手職員の早期離職は3割前後

新規学卒者の就職後3年以内の離職率は、大卒で32.8%、高卒で39.5%となっており、この割合自体に大きな変化はないようです。
しかし、冒頭でも書いたとおり、今後の少子化や労働人口の減少はますます進行することが懸念され、人材確保が難しくなっていくことも予想できます。そうなれば、若手職員が早期離職することでもたらされる企業や組織への影響は、より大きくより深刻なものとなっていくことは間違いないでしょう。
(参考:2020年厚生労働省公表「新規学卒就職者の離職状況(2017年3月卒業者の状況)」)

若手職員が早期離職する原因

早期離職の原因はいくつか挙げられますが、非常に特徴的に感じられるのは、単純に仕事や職場への不満がある若手だけではなく、スキルアップやキャリアアップを目指す、成長意欲の高い若手が早期離職するケースが増えていると思われることです。

仕事が自分に合わない

まず、新卒の就職ではある程度は発生してしまうものではありますが、仕事のミスマッチと言えるものです。ミスマッチとは、仕事の内容が本人の適性に合っていないという不満が高まるというようなことです。
具体的に言うと、「想定していた仕事内容と違う」「能力以上の成果を求められる」「この仕事での将来が見えない」などです。こういったことから、より理想を求めて早期離職に繋がっていることが考えられます。

人間関係に対する不満

早期離職の原因として「職場の人間関係」は常に上位にあります。
2022年6月に労働施策総合推進法いわゆるパワハラ防止法が施行されましたが、上司による高圧的な態度や物言い、言葉遣いなどで若手職員がストレスを抱えてしまい仕事へのモチベーションが低下してしまう、結果的に離職を考えることとなるということです。
また、仕事に対して認めてもらえない、正しく評価されないといったことから、周囲との関係性を悪くするケースもあります。

労働環境や待遇への不満

長時間労働を強いられる、休日が少ない、労働量に見合った給与がもらえない、十分な福利厚生が提供されていない、などの不満が募ってしまうことにより早期離職に繋がります。
労働環境は、職員のストレスに密接に関係する重要課題です。ストレスが溜まっていけば、当然のことながら離職を考えるようになっていくでしょう。

 キャリア開発の不足

早期離職の理由として増えてきているのが「自分の成長を感じられない」「将来に不安がある」というようなことです。
これは、若手職員の成長欲求や仕事への意欲が決して低いものではないということを表しています。
日々の業務の中で、常に目の前のことだけに追われスキルアップができる機会が不足してしまうと、モチベーションが低下したり将来への不安が芽生えたりします。
そこから、転職という選択肢が生まれて早期退職まで進んでしまうのです。

若手職員の早期離職対策が必要な理由

この記事の最初にも書きましたが、今はあらゆる業種業界で「人手不足」になっています。
せっかく新しく入ってきた若手を早期離職で失うのは大きなデメリットです。同時に、ますます人手不足に拍車をかけ、サービスや商品の質の低下、顧客離れなどのリスクも伴います。
下記に、代表的なものを記載していますが、早期離職は、企業にとってデメリットやリスクが非常に多いと言えます。早急な対策が必要なのです。

採用コストや育成コストの負担が増加する

まず、コストの問題です。
職員が早期離職してしまったら新たに採用を行なわなければなりません。そのためにはコストが必要です。
さらに、採用した職員が戦力化するまでの育成にもコストが必要です。
人材育成や教育に係わるコストは、他のコストに比べて後回しにされやすいのですが、早期離職による新規採用と戦力化の育成を繰り返すコストを考えれば、今いる人材の成長と育成にコストをかけたほうが全体としての軽減につながります。

企業イメージが悪化する

早期離職が多いというのは、想像以上にその企業や組織に対するイメージを悪化させます。
「人が辞めていく」「若い人が育たない」と世間から評価される企業や組織に対して、良いイメージを持つ人は少ないでしょう。その分の人材を募集しようとしても、そのイメージから応募を躊躇する、取りやめる、そもそも選択肢に入らないなどの悪影響を及ぼす可能性は十分にあります。
さらに怖いのは、そのようなイメージから関係先や取引先からも距離を置かれてしまう可能性があることです。

次世代のリーダーが育ちにくくなる

早期離職に対して何の対策も行っていない企業や組織では、2番手3番手といった人材がいないという現実があります。上司やベテラン、年代で言えば40代後半~50代の次が20代ということさえあるくらいです。若手人材の早期離職が続くことで、今後の企業や組織を担っていくはずの次のリーダーを育てられなくなります。
先ほどのコスト面からも、次のリーダー育てるコストと採用と戦力化を繰り返すコスト、自社の将来を考えるうえでどちらを選ぶべきでしょうか?

3つの効果的な若手職員の早期離職対策

早期離職を防ぐためにどうすればいいのか。これに関しては、企業や組織によってできることできないことなどもあるでしょう。
そういったことも踏まえながら敢えて書かせていただくと「小手先だけの対策は無意味」ということです。
採用から退職まで一緒に働くために何をするのか、という視点で対策を講じることが重要です。

①入社後にギャップを感じさせない採用活動を心がける

採用前からの準備と意識が最重要です。
応募者に対して採用前から情報発信を正しく行うことで、入社後の「こんなはずじゃなかった」「期待していたのと違う」などといったギャップをある程度減らすことができます。
さらに、採用時には企業理念や仕事内容を嘘偽りなく客観的な情報として正しく伝えることが大事です。大げさに表現したり、採用担当者の主観による情報は応募者とのミスマッチを生みやすくなります。
そして、応募者の希望や適性を十分に把握したうえで採用や配置を検討することを忘れてはいけません。

②労働時間などの労働環境を整備する

労働環境の整備はできていますか?
労働環境の不整備は、早期離職防止の阻害要因です。労働条件の見直しや給与面・待遇面など、考えなければならないことや難しいことが非常に多いですが、そのような困難なことをどうにかしていくことがマネジメントと言えます。
今までの常識や慣例などにとらわれず、どうすれば実現できるのかを考えていく必要があります。
長時間労働の問題は、その最たるものと言えるのかもしれません。

③新人フォローアップ研修で若手のキャリアプランを支援する

先にも書きましたが、今の若手は成長欲求や将来への展望の意識が強いです。入社後に「あとは各自がんばれ」ではなく、定期的なフォローを徹底することが重要です。

最近よく耳にするのは「1on1ミーティング」と呼ばれる、上司と部下が1対1で仕事のことから雑談までをざっくばらんに話す時間を設ける方法です。
さらには、新人フォローアップ研修などを定期的に行い、若手がこの企業(組織)でどのようなキャリアプランを描いていくかを支援することです。

1年目と3年目、5年目では組織から求められていることも違ってきます。それらを先取りするかのようにフォローアップ研修として身につけてもらうことにより、自分の今後の将来を見据えながら働くことのきっかけや機会を設ける・支援することが早期離職の防止に繋がります。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?若手の早期離職に関して、思い当たることや役に立ったことはありましたでしょうか?
縁があって一緒に働くことになった方々を、様々な理由とは言え早期離職で失うのは非常にもったいないことで、企業や組織にとっては損失以外の何物でもありません。早期離職が繰り返されると、上司や先輩への悪影響も避けられません。「どうせ辞めちゃうし」と、育てる意識の低下や指導がおざなりになるというようなことです。それで企業や組織の成長発展が望めるでしょうか?
採用から育成まで、今一度見直すきっかけにしていただければ幸いです。

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