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接遇とは?必要とされる理由や基本の5原則について詳しく解説

接遇とは?必要とされる理由や基本の5原則について詳しく解説


「接遇とは、どのようなことですか?」改めて問われると、うまく回答できなかったり言葉に詰まってしまいませんか?接遇が大事だということはわかっている、にも関わらずその中身について深く理解できているかと言われれば少し自信がないという方も多いでしょう。
本コラムでは「接遇とは何か」や「接遇の必要性」などの今さら聞けない部分を掘り下げて記載していきます
「もう理解していますよ」という方も、再確認と振り返りのために読んでみて下さい。

接遇とは?

では、接遇とは何なのかというところからお話していきます。接遇という言葉はよく耳にします。その言葉の意味や接客との違いなどの観点から、接遇とは何かというその本質に迫ろうと思います。

そもそも接遇とは?

接遇とは、「相手を理解し適切に迎える対応」のことを言います。「遇」という字には「出会う」や「めぐり合わせ」などのほかに「もてなす」という意味があります。「もてなす」とは心を込めた対応のこと、つまり接遇とは、相手のために心を込めた対応をすることなのです。しかし、いくら自分が心を込めたつもりでも相手がそれを感じなければ意味がありません。言い換えると、相手に感じてもらえなければ接遇にはならないということです。そのためには、相手がどんなことを望んでいてどんなことを不快に思うかなどを理解する必要があります。
とくに、接客業やサービス業においては、たった一度の不適切な対応によってお店や会社やそこで働くすべての従業員が悪いイメージを持たれてしまうことがあります。
日本には昔から「一期一会」という言葉があります。お客様とは一生に一度きりの機会しかないと思い、誠心誠意心を込めて対応する。まさに接遇の実践は全職員に求められる重要なスキルと言えます。

接遇と接客の違い

接客とは、「お客様への対応をする」ことです。対応は「必要最低限のサービス提供」と言えるでしょう。ただ単に相手への受け答えだけなら「応対」であり「対応」ではありません。相手に対しマナーを守ってサービスを提供しますが特別なことではありません。
一方、接遇は「お客様を理解し適切に迎える対応」です。必要最低限ではなく心を込めたサービスです。お客様がどのような状況か、どのような気持ちか、何を求めているか、などを汲み取り一人一人に合わせたサービスを提供する必要があるのです。そこには、深い深い相手への「思いやり」の心があるのです。

接遇のスキルが必要とされる理由

接遇の意味と大事さはご理解いただけたと思います。では、なぜ「接遇」が必要なのでしょう?違いがあるとはいえ「接客」でもサービスは提供しているのです。それなのに、どうして「接客」だけではダメなのでしょう?

顧客満足度の向上につながる

「接遇とは」でも書いたとおり、たった一度の不適切な対応でお客様が離れる可能性は十分にあるのです。不適切ではなかったとしても、必要最低限のサービスしか受けられないのであれば他でもいい、と思われてしまいます。親切・丁寧、思いやりの心を持った態度で接することで、お客様の「他では得られない満足感」は高まり、再来店や継続利用に繋がるのです。

顧客との信頼関係を築くことができる

相手を深く理解することで、適切な対応が可能になります。それゆえに、その相手とは信頼関係が生まれます。逆の立場で想像してみて下さい。自分が客側だったとして、一度でも不快に感じる対応をされたら…、最低限とは言え不十分に感じられるサービスしか提供されなかったら…、その相手を信頼することができるでしょうか?信頼があればこそ受けられるというサービスも存在するのではないでしょうか?

コミュニケーションが円滑になる

接遇スキルは決して難しいものではありません。誰でも身につけることができ実践することができます。そして、接遇のスキルが身に付くことによって、お互いを気遣うことができるため関係性が深まります。これは、対お客様だけではありません。職員同士、スタッフ間においても同様です。つまりは、職員間でのコミュニケーションが円滑になるということです。さらに、職員間でのコミュニケーションが円滑になれば職場全体の雰囲気は良くなります。その雰囲気の良さは、お客様にとっての居心地の良さにもつながるでしょう。

接遇の基本となる5つの原則

では、皆さんに「接遇」を実践していただくためにも基本の5原則についてお話いたします。先ほども書いたように難しいものは何一つありません。今日から、いえ、今から実践できるものばかりです。ぜひ読み終えた瞬間から意識して実践してください。

表情

まずは、表情です。眉間にしわを寄せた難しい顔と穏やかで優しい笑顔では、どちらに好感を持てますか?第一印象を見た目で決めてしまったり、話の内容より表情で判断してしまったり、人は視覚的要素に引っ張られることが多いものです。基本は笑顔、口は閉じているけど口角が上がっている「サイレントスマイル」ですが、時には相手と同じ表情で相手の心情を理解していることを表現することが「接遇」に繋がります。

挨拶

挨拶は、コミュニケーションの基本というべきものです。相手にハッキリと聞こえる明るい声を意識しましょう。また、挨拶は基本的に自分からするものです。立場や役職、関係性にかかわらず相手よりも先に挨拶をすることを心掛けましょう。相手の姿を見かけているのに自分から挨拶をしないなんて「無視」していることと同じです。もちろん、言うまでもなく挨拶をされているのに返事をしないなんてもってのほかです。

身だしなみ

服装や髪形だけではありません。手や爪、ニオイなどにも配慮する必要があります。身だしなみは周囲との調和です。その場や周囲と釣り合わない派手な格好や色遣い、制服の着崩れや不快に感じられるような着こなし方などもNGです。「かっこいい」や「かわいい」などのオシャレは自己満足で、身だしなみにはならないと認識しておきましょう。

話し方

敬語や言葉遣いを間違ってはいませんか?よくあるケースとしては、親しみを込めているつもりで馴れ馴れしくなっているということです。確かに堅苦しい言葉遣いだと相手は距離を感じてしまうかもしれません。しかし、友達や家族との話し方のようでは距離が近すぎて不快に思われたり失礼にあたります。正しい敬語や言葉遣いをしつつ、相手との距離を縮める話し方を目指しましょう。

態度

相手との接し方だけではなく、普段の歩き方や立ち方座り方、物を受け渡すときの動きなど立ち振る舞いのほとんどが態度です。「接遇とは」に書いた、たった一度の不適切な対応が態度の場合も多いです。受け答えはしっかりしていたが、歩き方がダラダラしていた、動きが面倒くさそうだった、そんな風に見えて接遇を感じられなかったというケースは結構多いのです。プライベートな空間以外は誰に見られているかわかりません。注意しましょう。

接遇を身につける研修とは?

「接遇」というのは、誰か一人ができていてもダメなのです。すべての職員・従業員が高いレベルで揃っていないと、「あの店は…」「あそこに施設は…」と悪評になってしまいます。全員で統一意識を持って接遇レベルの向上を目指すなら、やはり研修を実施することが有効だと言えるでしょう。

接遇マナー研修とは?

接遇マナー研修は、ただ単純に所作ややり方を学ぶのではなく、接遇への意識を高めてもらいながらスキルを身につけてもらいます。やり方だけなら、書籍を読んでもらえば良いと言えます。どんなスキルも意識が低いと発揮されません。意識と実践、2つを同時に高めていくのが接遇マナー研修です。
また、接遇に関する基本原則や考え方というのは、業種や職種が違っても同じと言えますが、実践する内容が異なることがほとんどです。その業界、その職ならでは、などの接遇マナーを学ぶためにも接遇マナー研修は必須と言えるでしょう。

接遇マナー研修を行うメリット

メリットは何と言っても、職員の接遇スキルが均一に向上するという点です。接遇マナー研修自体が、全職員の接遇スキル向上を目指す研修なのですから当然。繰り返しになりますが、接遇は心を込めた対応、思いやりの心の表現です。つまりは、テクニックではなく意識が最重要なのです。研修では、意識の統一からスタートします。
職員の接遇スキルが向上することで、顧客の満足度向上につながります。職員と顧客、職員同士の関係性が高まり、環境や雰囲気も良くなることで顧客だけではなく世間からの信頼獲得にもつながるでしょう。
ということは、競合との差別化も可能となります。接遇スキルが必要な理由の中でも書きましたが、最低限のサービスや他と変わらないものであれば、わざわざ選んでくる必要はないのです。他よりも高い接遇、どこよりも大切にされていると感じられるからこそ、お客様はそこを選ぶのです。

接遇マナー研修の主な内容

接遇マナー研修では、接遇に対する意識の向上や接遇の基本を学ぶことに始まって、顧客に接する自身の役割と顧客の心理を理解すると言った少し深い内容の座学と、実際に行いながら身につけるための「ロールプレイング」や「ディスカッション」「ケーススタディ」など実技を含めた接遇マナーの実践を行います。 

■研修内容の例
①業界の現状と接遇マナーの必要性
各種データをもとに業界の現状を学びつつ、「なぜ接遇マナーが必要なのか」「接遇マナーはどうあるべきか」を理解する。

②マナー5原則の理解
マナー5原則(「表情」「あいさつ」「身だしなみ」「言葉遣い」「態度・所作」)について学び、現場でどう立ち振る舞えばよいのかを理解する。

③マナー5原則の実践(基礎)
業界に特化した事例をもとに、マナー5原則を意識したロープレを実施し、現場での実践のイメージをつける。

参考:日本教育クリエイトの接遇マナー研修
医療機関向け接遇マナー研修>
介護施設向け接遇マナー研修>
保育施設向け接遇マナー研修>

まとめ

いかがでしょうか?接遇マナーについて改めて考えるきっかけとしていただければ大変うれしく思います。
もちろん、接遇の意識を軽視している職員はおられないと思います。しかし、つい目の前の業務に意識が集中していたり、人員不足の影響で多忙な時間に追われてしまったり、と接遇への意識が後回しになってしまうことはあるかと思います。
接遇なくして顧客満足なし、というくらいの気持ちで全職員の接遇スキル向上を目指していただきたいと思います!

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