組織を強くするモチベーションコラム

【令和6年度介護報酬改定】生産性向上の取組が介護職員等処遇改善加算Ⅰ・Ⅱにつながる

令和6年度介護報酬改定と処遇改善加算について

令和6年度介護報酬改定により、介護職員等処遇改善加算において新加算I~IVが設定されました。新加算I~IVへ移行するための要件の一つに、6区分からなる「職場環境等要件」があります。令和7年度以降、各区分ごとに定められている具体的内容が従来より細分化され、より詳細な条件が設定されるようになりました。

引用:厚生労働省/令和6年度介護報酬改定での見直しの概要・令和6年度の申請様式等「事務担当者向け・詳細説明資料」https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001219323.pdf

処遇改善加算Ⅰ・Ⅱの取得にあたり、「生産性向上のための取組」については、(17)~(24)の具体的内容のうち、3つ以上かつ(17)(18)を満たすことが取得条件とされています。

(17)厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活用等)を行っている
(18)現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している

今回は、必須とされている(17)(18)の取組について、具体的にどんなことをすればよいのかお話しいたします。

介護事業所における生産性向上とは

生産性向上の取組を始める前に、介護の業界における生産性向上の意味や目的を押さえておく必要があります。
生産性向上というと、「効率化」「コスト削減」等のイメージが先行しがちですが、人対人のサービスを主とする介護においては、必ずしもそれが正とは言えません。何のために生産性向上を行うのか、目的を明確にして組織全体で共有することが、生産性向上の第一歩です。

生産性向上の意味

一般的に生産性向上とは、「限られた人員・資源でより大きな成果を出せるようにすること」を意味します。
例えば製造業において、1時間あたり10人で10個の商品を製造していたところ、10人で20個の商品を製造できるようになった場合、生産性は2倍になったと言えます。
生産性は「アウトプット」÷「インプット」で割り出すことができます。
上記の例にあてはめると、10個÷10人=生産性1だったものが、20個÷10人=生産性2に向上したと考えることができます。

生産性向上と業務効率化の違い

生産性向上と業務効率化はよく混同されますが、両者は目的と手段の関係にあります。「より大きな成果を出す」という生産性向上の目的があり、その手段の一つに業務効率化があります。
業務効率化においては、3M(ムリ・ムダ・ムラ)に着目し、コスト削減や業務のマニュアル化などを行います。その結果、生産性向上におけるインプット部分を減らすことにつながります。
逆に言えば、業務効率化のみが生産性向上の手段ではないということです。介護の業界においては、この考え方がとても重要だと言えます。

介護事業所における生産性向上

では、介護事業所における生産性向上とは何を意味するのでしょうか。
生産性向上は「より大きな成果を出す」ことを目的としますが、介護における大きな成果とは「サービスの質の向上」です。すなわち、「限られた人員・資源でサービスの質をより向上させる」ことが生産性向上の意味することだと言えます。そしてその先に、「理念の実現」「ご利用者・ご家族満足」「地域への貢献」などの大きなゴールがあります。
先に述べたように、「業務効率化」という観点だけで取組を進めていった結果、肝心のサービスの質低下につながってしまったら、本末転倒になってしまいます。
介護事業所において生産性向上に取り組む場合は、この目的を見失わないように注意しなければなりません。

介護事業所における生産性向上の取組をどう進めるか

実際にどのように生産性向上の取組を進めればよいのでしょうか。
ここでは、上記の職場環境等要件(17)(18)を満たすために必要な取組を具体的に記載いたします。

1.生産性向上プロジェクトチームの発足

(17)には「業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活用等)」と記載されています。まず最初に行うことは、生産性向上に取り組むメンバーを選抜し、チームを発足することです。その後、何のために生産性向上に取り組むのか、プロジェクトの目的を共有しましょう。

2.ガイドラインの確認

(17)には「厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき~」と記載されています。基本的に、生産性向上の取組はこの「ガイドライン」に沿って進めていきましょう。
※厚生労働省:介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-seisansei-information.html

例えば、施設向けガイドラインには下記のような取組の流れが記載されています。

※厚生労働省:より良い職場・サービスのために今日からできること(業務改善の手引き)p.13
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_shisetsu_Guide.pdf

ここまでで職場環境等要件の(17)を満たすことができます。

3.課題の抽出

(18)には、「現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している」と記載されています。
生産性向上のためには、まず現場が抱える課題をピックアップするところから始めます。
ガイドラインでは、「因果関係図の作成」が推奨されています。
まずは模造紙を広げましょう。現場の「問題」を挙げられるだけ挙げ、付箋に書いて貼っていきます。その問題の「原因」や、発生している「悪影響」を考え、同じく付箋に書いて貼っていきます。それらを矢印で結んでいき、因果関係図を作成します。
※厚生労働省:より良い職場・サービスのために今日からできること(業務改善の手引き)p.17
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_shisetsu_Guide.pdf

4.課題の類型化

ガイドラインでは、介護事業所で取り組むべき課題が以下の7つに分けて記載されています。

(1)職場環境の整備
(2)業務の明確化と役割分担
(3)手順書の作成
(4)記録・報告様式の工夫
(5)情報共有の工夫
(6)OJT の仕組みづくり
(7)理念・行動指針の徹底

作成した因果関係図を7つの区分で類型化することで、課題が整理され、分かりやすくなります。

5.業務時間調査を行う

業務時間調査を行うことで、現場の実態がわかるようになります。課題を抽出する際の参考資料として活用しましょう。
調査のツールは厚生労働省から発信されているものを使用することをお勧めします。
※業務時間見える化ツール
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-seisansei-elearning.html

調査後、下記のような3Mの観点で分析を行います。
・夜勤帯にキャリアの浅い職員のみの体制になっていないか(ムリ)
・職員が一斉に休憩を取ることで、残された職員に業務が集中していないか(ムリ)
・時間帯毎に適性な職員が適正な数、勤務しているか(ムリ・ムダ)
・各業務が適正な時間で実施されているか(ムダ・ムリ)
・忘れ物等を利用者宅や施設に取りに戻っていないか(ムダ)
・介護職員がケア専門業務以外の業務(清掃や送迎等)に時間を割いていないか(ムダ)
・職員間で残業等の労働時間に偏りがないか(ムラ・ムリ)
分析の結果わかったことを、先ほどの因果関係図に書き足していきましょう。

ここまでで、職場環境等要件の(18)を満たすことができます。

6.計画~実行~振り返り

課題が明確になったら、改善策を考えて実行計画を立て、実行に移します。
定期的に振り返りを行い、さらなる改善策を出していくことで、より確実に生産性向上の取組が進んでいきます。

厚生労働省から様々なツールが発信されているので、活用しましょう。
※厚生労働省:介護分野における生産性向上の取組の進め方
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-seisansei-elearning.html

《オススメのツール》
■改善方針シート
取組むべき課題を3つに絞り、それぞれについての改善策を大まかに考えるためのシートです。
解決の方向性について、チーム内で共通認識を生成するのに役立ちます。

■進捗管理シート
それぞれの課題について、具体的な実行内容やスケジュールなどを記載するシートです。振り返りを行うための欄もあり、計画~実行~振り返りとあらゆる過程で役立つツールです。

まとめ

生産性向上の取組は、「サービスの質向上」という大きな目的を見失わないように進めましょう。
取組は、厚生労働省のガイドラインに沿って進めていきましょう。
生産性向上の取組は、処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ取得のための要件ではありますが、せっかく取り組むのであれば、効果があるものにしたいですよね。
今まで取り組んだことがないという事業所の皆様も、この機会にぜひ取り組まれてみてください。

当社でも、厚生労働省のガイドラインに沿った内容で、「生産性向上の取組支援」及びそれを通じて「処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ取得のサポート」を行っております。
「自事業所で進めるのは難しそう」
「時間があまりとれない」
と感じられている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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