組織を強くするモチベーションコラム
モチベーションアップ

第3回 欲求の階層

マズローの欲求階層説

前回は欲求について取り上げました。私たちの内部にはさまざまな欲求が存在し、それらの欲求を充足させようとする過程で目標が生まれ、そして目標に向かうモチベーションが喚起されます。

欲求についての理論の中でよく知られているものに、A.マズローの欲求階層説があります。マズローによれば、欲求はばらばらで無秩序に存在しているのではなく、一定の秩序(階層性)をもって存在します。最も基本にある欲求は、私たちが生きていくために欠かせない生理的欲求であり、最も上位の階層にある欲求が自己実現欲求です。マズローは生理的欲求から自己実現欲求までを、図のように5つの階層に整理しています。

このうち、生理的欲求から尊厳欲求までの4階層は、その1段下にある欲求が充足されないと現れてきません。たとえば、生理的欲求が不充足な場合には、その上の安全欲求は現れてきません。別の言い方をすれば、ある階層の欲求は、それが欠乏状態にあるときには私たちを欲求充足行動に駆り立てます。しかし充足されると、その欲求は私たちを行動に駆り立てる力を失い、それよりも1段上の欲求が現れてきます。こうして欲求はだんだんとその階層を上っていきます。

ところが、最高位にある自己実現欲求は性質が異なります。自己実現欲求は満たされることがありません。仮に満たされたと感じても、今の自分ならもっと高みを目ざすことができる、もっと理想に近づくことができると、理想の自己を目ざしてさらなる欲求が生まれていきます。これが私たちを成長へと導いていくのです。マズローは、自己実現欲求を成長欲求、生理的欲求から尊厳欲求までを欠乏欲求と呼んで、自己実現欲求の重要性を強調しています。

X理論とY理論

マズローの欲求階層説は、組織に働く人々の行動を理解する上で多くのヒントを与えてくれました。たとえばD.マグレガーは、マズローの欲求階層説を基盤に、権限と指示統制による管理ではなく、創造性や自己実現を目ざす管理を目ざすことを提唱しました。

マグレガーによれば、組織に働く人々を管理するには2つの考え方があります。一つは、人は本来仕事が嫌いで、できれば仕事などしたくないと思っているという考え方です。仕事が嫌いなのですから、権限を背景とした命令や強制、厳密な指示や罰、外部からのインセンティブがなければ、人は怠けてしまい働こうとしません。したがって、必要なのは「アメとムチ」であり、報酬と罰で人を管理することになります。マグレガーはこのような考え方をX理論と呼びました。

もう一つの考え方は、外部から統制したり脅迫することだけが、組織目標の達成に努力させる手段ではないというものです。つまり、人は自分が進んで受け入れた目標のためには、外部から締め付けたりせずとも自分自身をコントロールし、創意工夫しながら働くものであり、こうした働き方を通じて人は成長していきます。こうした人間観の下では、尊厳欲求や自己実現欲求が人を動かす報酬にもなります。マグレガーはこれをY理論と呼びました。

マグレガーによれば、組織に働く人々にとってはY理論の人間観に基づく管理こそが仕事へのモチベーションにつながるものとなります。

アルダファーのERG理論

マズローに影響を受けた理論をもう一つ紹介します。アルダファーのERG理論です。アルダファーはマズローと異なり、欲求を3つの階層に分類しました。下から生存(Existence)欲求、関係(Relatedness)欲求、成長(Growth)欲求です。欲求の英語名称の頭文字をとってERG理論と呼ばれます。

マズロー理論では、欲求は下から順に顕在化し、一度充足された欲求はもう人を行動に駆り立てる力を持たなくなります。したがって欲求充足の流れは下位から上位への一方通行であり、下位の欲求が充足されるまで、それより上位の欲求は赤信号でのストップ状態で先に進むことができません。

これに対してERG理論では、基本的にはマズローと同じく下位から上位への流れとなりますが、上位の欲求が充足されない場合にはまた下位欲求の充足へと戻ることも想定されています。さらに、3つの階層の欲求が同時に発現することも想定されています。つまり一方通行ではなく両面通行、さらに3つの階層で信号は同時に青ということもあり得ます。ここがマズロー理論との大きな違いです。

マズローの理論とアルダファーの理論、どちらも私たちの欲求のあり方を反映したものと言えますが、さて皆さんの感覚にはどちらの理論がよりフィットするでしょうか。

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