組織を強くするモチベーションコラム
モチベーションアップ

第4回 モチベーションを探る視点

モチベーションを探る手がかりとして、欲求という概念を見てきましたが、他にはどんな手がかりがあるでしょうか。組織心理学者のレイサムとピンダーは応用的な視点から7つのヒントをあげています。

欲求

第1は、すでに紹介した欲求です。欲求階層説で最も高次の欲求としてあげられた自己実現欲求は、人を成長させる欲求であり、高い目標へモチベーションを喚起します。マズローの理論は半世紀以上昔に提唱されたものではありますが、理論への関心はいまもって続いています。

個人特性

第2は、個人の特性です。個人特性の代表はパーソナリティですが、たとえば、目標設定や課題遂行の自信(これを自己効力感といいます)といった変数を仲介して、パーソナリティが課題遂行意欲に影響を及ぼすことが明らかにされています。このように、モチベーションの世界でも、パーソナリティが課題への取り組みや遂行に影響を及ぼすことへの関心が深まってきており、パーソナリティ特性との関連を探るさまざまな研究が生まれています。

価値観

第3のヒントは、個々人がもつ価値観です。価値観とは、行動を選択する際の規範になるものであり、私たちが経験を通じて獲得する、望ましいと感じ、行動する際の判断の基準となる原理です。第1回で、モチベーションは目標に向かって行動を方向づけ、行動を維持することを説明しましたが、なぜその目標を選ぶのかについては個人のもつ価値観が反映されます。価値観は目標達成を目ざすモチベーションの源といってもよいでしょう。

コンテクスト

第4は「コンテクスト(文脈)」であり、ものごとの背景にある状況や考え方、またそれらのつながりといったことを表します。たとえば、いちいち細かなことを話さずともお互いに意思が通じるという思いを共有できる場合には、文化的なコンテクストが高いといえます。したがって、コンテクストには、これまで見てきた欲求や価値観、あるいは信念体系などが含まれており、モチベーションにもさまざま影響を及ぼすことが明らかにされています。コンテクストが異なれば現れる行動も異なってきます。

人とコンテクストの適合

第5は「人とコンテクストの適合」です。つまり、人の側の変数と個人を取り巻くコンテクストの変数を切り離して考えるのではなく、同時に考慮するということです。この考え方の背景には、たとえば欲求や価値観のような人の側の変数と、国や文化の違い、集団の特徴など、人を取り巻くコンテクストとの組み合わせが、行動へのモチベーションや成果に影響を及ぼすという視点があります。

認知

第6のヒントは、意識や意図、期待といった「認知」です。外界からの刺激をどのように解釈し、自己の内部にある欲求や価値観に基づいてどのような目標を立てるか。あるいは、目や耳から受け取った情報を解読し、知識や過去の経験をもとにどのような対処の仕方を考えるか。目標はこうした認知のプロセスの中で具体化され、モチベーションが生まれます。価値観も認知であり、コンテクストをどうとらえるかも認知の枠内のことです。

情動的要因

レイサムたちがあげた7つ目のヒントは、感情や情緒といった情動的要因です。この要因には、安定した特性的なものもあれば、ある状態で一時的に感じるものもあります。情動は長期にわたって目標達成行動に影響を与えます。これまでの研究では、仲間との間に感じる信頼感や一体感などの感情が、達成への意欲や仕事満足感に効果をもつことが明らかにされています。たとえば、イスラエルの組織心理学者エレツらの研究では、幸福感などのポジティブな感情が、行動持続へのモチベーションや成果に影響を及ぼすことが明らかにされています。

モチベーションを探る視点には、このようにさまざまなものがあります。この他にも、モチベーションとは何か、人はどのようにしてモチベートされるのかという、モチベーションの源泉を探る研究の流れと、モチベーションはどのようにして生まれ変化していくのかという、モチベーションの消長や変化を探る研究の流れで分類する視点もあります。

モチベーション研究の奥の深さの一端をご理解いただけたでしょうか。

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