組織を強くするモチベーションコラム
組織マネジメント

管理スキルだけあればいい、そう思っていませんか?

「部下が何も考えずに相談してくる。」

「いつまでたっても自分の仕事が楽にならない。」

「どう指導して良いかわからない…。」

このようなご相談を管理職の方々からお受けすることがあります。

多くの場合、このような方々は既に現場プレーヤーとして業務をバリバリとこなし非常に優秀であり、加えて部下育成・指導も任せられる、いわばプレイングマネージャーとしての実力を持っている方がほとんどです。おおむねベテランで「仕事がデキる人」が管理職になっているものです。役職が上がれば、当然責任の範囲も広がり現場業務外の仕事が激増します。

毎日のルーティンに加え、クレーム対応や差し迫った作業、人事や調整、長期的計画の立案・実行、会議や面談、報告書作成、資料や様々な書類の承認、部下の有給休暇の管理から手続き申請、シフトの穴埋め、業務のフィードバック、職員の揉め事やお悩み相談まで、管理職の仕事は多岐にわたります。そして面倒なことに大概の問題は大きくなってからあなたのもとへ…。

現場から管理職になった方には「もっと患者さん、ご利用者さんと向き合いたいのに…」と思っている方々も多くいらっしゃるのではないでしょうか。また、5年~10年目の中堅管理職の退職が増加している昨今、「順番が来て仕方なく」「正社員だから」「年齢的に」などの理由で役職に就いたと思っておられる方も少なくありません。

そして管理職の仕事に就いて気付くのです。

「管理職になったけど、私で大丈夫なの…?」と。

ある日辞令を受けて管理職に就き戸惑っている方、またなんとか手探りで努めてきた方、業務外でセミナーを受け自己啓発をしながら頑張ってきた方…様々な方々がいらっしゃるのではないでしょうか。

管理職には権限と責任が付与されると共に、管理職スキルが求められます。多くの方々はマネジメントスキルや課題解決法など、いわゆる手法ばかりに目が行きがちです。

求められているスキルとは?

そもそも管理職の仕事とは何でしょうか。

管理職というくらいですので、様々な業務、課題解決のための手法、緊急性を選別・判断し、物事を効率的に正しく行うこと、つまり管理=「マネジメント」ばかりにとらわれてはいないでしょうか。しかし、実はそれ以前に大変重要な役割が管理職には求められています。

それは、「リーダーシップ」という役割機能です。

よくリーダーシップとマネジメントは同じ意味だと混合されがちです。チーム・組織をぐいぐい引っ張っていく、それがリーダーシップだとみなさんは思っていませんか?リーダーシップとは、長年にわたり研究されていますが、基本的に「影響力」と言われています。自身の強みを理解し周りに影響力を発揮すること、それがリーダーシップです。では「影響力」はどう発揮していけばいいのでしょうか?

業務を実施する前に、この業務自体が正しいのか、何のために行うのか、どの方向へ向かうのか?という方向性=「コンパス」をあらゆる視点で定めて判断することが重要です。 管理職であるあなたが影響力を発揮し方向性を決断して業務を進めていかないと、チーム・組織・部下は目的がわからず右往左往するばかりです。

部下は「何のためにこの業務を行うのか」目的が理解できず、ただただ目の前にある業務を機械的にこなしてしまうだけです。それに加え、例えば新入職員が入職した時に業務の目的が教えられない、ということも起こりえます。こうして指示が曖昧になり「目的のわからない業務」がある意味伝統的に続いていってしまうのです。

主体的に動いてもらうためには

組織・チーム・部下には「主体的」に動いてもらわなければなりません。

それは時に、我々が業界のプロとして提供している医療・介護がまっとうであるかどうか、考え悩み正解のない答えに自分の意思・判断によって行動を起こしていかないとならない場面が多々あるからです。方向性や結果までのプロセス(過程)も重要になってきます。

エベレストに登るのか、富士山に登るのか、近くの山にロープウェイでハイキングに行くのか…そこで準備も現地まで行く乗り物も違います。自転車で行くのか、新幹線に乗るのか、はたまた空港へ向かうのか…いいえ、そんなことより私たちはどの山を目指しているか方向を指し示すことがあなたがとるべきリーダーシップなのです。

肝心の目的地(ゴール)がどこなのかがわかっていなければ、どんな装備が必要なのか、ゴールに向かって何をしなければいけないのか、チーム・組織は混乱するだけなのです。

まずは管理職の役割について改めて再認識し、しっかりとゴールを見定めましょう。それができた上で、ゴールへ向かってより効率的に業務を進めていくための手段が「マネジメント」です。

何事においても、「コンパス(方向性)」が先で、手段はその後なのです。

関連記事

お問い合わせ