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人材育成

介護施設の管理職研修とは?内容や役割についてポイントを解説

介護施設の管理職研修とは?内容や役割についてポイントを解説

介護施設には多くの専門職の方がいらっしゃいます。自らの専門スキルを活かし、ご利用者・ご家族の支援・介助に日々奮闘されていることと思います。
一方、介護施設には管理職と呼ばれる方もいらっしゃいます。一般職員と同様、現場での業務を行っている管理職もいらっしゃると思いますが、管理職と一般職員とでは、そもそも求められる役割が根底から異なります。介護の専門スキルとは別の、管理職としてのスキルを求められるわけです。

今回は、介護施設における管理職の育成には何が必要か、ということについてお話しします。

介護施設の管理職とは?

介護施設における管理職には、まず施設長が該当します。所長、ホーム長、センター長などと呼ぶこともあります。以下、組織によってどの階層までを管理職と呼ぶかは千差万別ですが、課長職以上を管理職と呼ぶことが多いです。
そんな管理職に求められる役割とは、どんなものでしょうか。

介護施設の管理職の主な役割

■介護施設全体の運営と管理
全体を通して、本来あるべきサービスが提供されているかどうか、確認する必要があります。そのためには、ご利用者やご家族の状況把握、職員の採用・配置など、広い視野であらゆる人を見ていかなければなりません。
一般職員であれば、目の前のご利用者・ご家族に集中し、ご満足いただくサービスを提供することが求められますが、管理職は全体を見渡し、問題が無いかどうかアンテナを張っていなければなりません

■問題解決、安全運営
現場にて、トラブルやクレームが発生してしまうこともあります。中には、現場で対応しきれないものもあります。管理職はその対応についての責任があります。一つ一つの問題に適切に対処し、事故がない安全な運営をすることが求められます。
また、安全運営のためには、介護保険制度を正しく理解し、コンプライアンスを遵守することも求められます。

■人材の育成
介護施設におけるサービスの要は「人」であることは間違いないと思います。施設の理念に沿った介護を実現できる人材を育成しなければなりません。そのためには、自らが指導することもありますし、施設全体の育成制度を整えて育成が進むようにする、ということが必要な場合もあります。

他にも、人事・労務管理、収支管理など、経営の視点をもって施設を運用していくことが求められます。

介護施設の管理職に求められるスキル

介護施設の管理職は、上記のような役割を果たすために、以下のようなスキルが求められます。

■リーダーシップ
介護施設の管理職は、リーダーシップを発揮し、職員を求められる成果へと導いていきます。
リーダーシップとは「影響力」であると言われます。自身の発言や行動がきっかけとなって、周囲の職員が動かされる状態こそが、リーダーシップが発揮されているという状態なのです。そのためには、職場において信頼関係を構築していることが前提となります。

■コミュニケーションスキル
介護施設の管理職は、対ご利用者、対ご家族、対職員など、外部内部問わず常に人と向き合うポジションです。いずれにしても、コミュニケーションを通して信頼関係を築くことが、介護施設の運営にプラスに働きます。相手に安心感・信頼感を与えるコミュニケーションスキルは、管理職に必須のスキルと言えるでしょう。

■マネジメントスキル
介護施設の管理職は、マネージャーとして職員をマネジメントしなければなりません。組織全体としての目的・ゴールから逆算して適切な目標設定をし、職員がその道のりをしっかりと歩んでいるかどうか、チェックをしていきます。

介護施設に管理職研修が必要な理由

介護施設において、管理職を育成することは、やらなければならないことでもあり、組織の課題解決に大きな効果をもたらすことでもあります。

組織力アップには管理職のスキルが重要

組織全体のレベルアップを図るためには、現場の職員を育成する前に、管理職の育成を行った方が効果的な場合があります。
例えば、クレームの多さに悩んでいる介護施設があったとします。クレームを防止し、ご利用者・ご家族に満足いただけるサービス提供の実現をしなければなりません。この課題の解決策は何でしょうか。以下の2つが挙げられます。
第一に、現場の職員に対してクレーム防止のための知識と方法を伝授することです。このやり方で効果が出る場合もあります。しかし、「すぐ元に戻ってしまった」「ちゃんとやらない人はとことんやらない」など、本質的な解決に至らないこともあります。
そこで第二に、現場の職員を統括している管理職に対して、職員の指導方法を伝授することです。先の第一のやり方でうまくいかない場合の原因は、学んだことが現場で徹底されないからです。クレーム防止のための策を職員全員が実施するよう指導する、実施していない職員に対しては改善を促す。このような環境を作ることが、問題の根本的な解決につながっていきます。
組織全体のレベルは、管理職のスキルに依存している場合もあると言えるでしょう。
施設長は、上記のような現場の運営ができる右腕を育成することで、施設の経営に集中することができるようになります。

実務のスキルと管理職のスキルは異なる

現場における介護スキルと管理職としてのスキルは全くの別物です。今までプレイヤーとして評価されてきた人が、管理職としてうまくいかなかったりすると、「なぜうまくいかないのか」と思い悩んでしまいます。
仕事をする上で求められるスキルを大きく分けると、3つのスキルがあります。

■スキル その1:テクニカルスキル
現場で求められるスキルを総合して「テクニカルスキル」といいます。介護施設で言えば、介護のスキル、接遇マナーなどが挙げられます。現場で仕事をする上で欠かせないスキルです。

■スキル その2:ヒューマンスキル
対人関係を築くスキルを総合して「ヒューマンスキル」といいます。例として、コミュニケーションスキル、育成スキルなどが挙げられます。現場でのリーダー的存在の方、役職がついた方に求められるスキルです。

■スキル その3:コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルとは、「概念化能力」のことで、現場で起こった問題や、経営上の課題等を抽象化してとらえ、分析し、解決策を考えることができるスキルです。例として、ロジカルシンキング、分析力、課題解決力などが挙げられます。より上位の役職者、経営者に求められるスキルです。

以上のように、階層によって求められるスキルが異なります。
管理職として活躍するためには、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルを習得する必要があるのです。

介護施設向け管理職研修の主な内容

管理職研修で扱う主な内容をご紹介いたします。

リーダーシップとフォロワーシップ

■リーダーシップ
・信頼関係を構築し、心理的安全性の担保された職場環境をつくる

■フォロワーシップ
・貢献力・提言力を発揮できる模範的フォロワーを目指す

部下育成コミュニケーション

■部下・後輩育成の基本
・育成の目的、目指すべき姿を考える

■信頼関係構築のためのコミュニケーション
・部下に安心感・信頼感を与えるコミュニケーションを習得する
・部下の状態・習熟度に合わせた関わり方を習得する

部下育成スキル

■育成の方法
・部下の成果を支援する指示の出し方をできるようにする
・適切なフィードバックと目標設定をできるようにする

まとめ

管理職の育成は、組織の課題解決において大きな効果をもたらす可能性のある施策です。
最近では、管理職の離職に悩んでいる介護施設もあるようです。
まずやるべきことは、管理職の方に「管理職としての自信」をつけていただくことです。そのためには、管理職としての最低限の知識やスキルを習得することが必要です。
ぜひこの機会に、管理職の育成を考えてみてください。

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