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クリティカルシンキングとは?ロジカルシンキングとの違いや例題を簡単に解説

クリティカルシンキングは経営者や管理職に欠かせない思考法


クリティカルシンキングとは、時代の変化が速く激しい現代において、経営者や管理職に必須ともいえるほど重要な思考のスキルです。今まさに、世の中は不確実性が高く複雑で曖昧な社会で、昨日の常識が今日の非常識というほど何が正しいのかの判断をつけることが難しくなっています。

そんな時代の中で生き抜く我々は、これまで自分が培った知識や経験だけではなく、多様化する人と情報からの気づきや学びを深めながら、理想のゴールを目指す力が必要となっています。
そのために欠かせない思考法の一つ、それがクリティカルシンキングなのです。

クリティカルシンキングとは?

クリティカルシンキングは目標達成や課題解決のために有効な思考法の一つです。
現在、様々な言葉や表現を用いて多種多様な思考法が紹介されています。その情報量の多さから誤解されてしまったり、他の思考法と混同されてしまうことも多いのです。

代表例として多い、クリティカルシンキングの誤解とロジカルシンキングとの違いについてお話します。

クリティカルシンキングは物事を俯瞰した考え方

クリティカルという単語が日本語で「懐疑的」や「批判的」と訳されることが多いため、クリティカルシンキングも「疑ってかかる」「間違いや欠点を指摘する」ようなネガティブなイメージで誤解されます。

しかし、本来のクリティカルシンキングは、「自分の中で常識だと思っていることや他者の意見や世の中の情報などを無条件に受け入れずに考える」ことであり、物事の本質や正解・最適解により近づくためのポジティブな思考法なのです。

クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違い

良く知られている思考の一つにロジカルシンキングがあります。

ロジカルシンキングは論理的思考法と訳され、結論と根拠の論理的なつながりを捉えながら考える
ことです。
クリティカルシンキングは物事を客観的に分析することで本質を見極めながら考えることです。この2つは相反するものではなく、どちらも重要で使い分けが必要です。

例えば、問題Aは「なぜ起こるのか?」を筋道立てて考えるのがロジカルシンキングだとすれば、「問題はAだけなのか?」や「そもそもAが本当に問題なのか?」など、前提条件の見直しや判断も含めて考えるのがクリティカルシンキングです。

どちらが正しいかではなく、どちらも問題の解決には必要であり、クリティカルシンキングで明確になった問題の本質をロジカルシンキングで論理的に考えることや、ロジカルシンキングを進める中で「本当にそうなのか?」とクリティカルシンキングで多角的に考えること、などの使い分けをするのです。

クリティカルシンキングが必要とされる理由

冒頭でお話したように、不確実性の高い現代では今までの常識が通用しないことのほうが多いと言えます。それだけでも、クリティカルシンキングが必要とされる理由になりそうですが、それはむしろ「これからの時代は、今まで以上にクリティカルシンキングが重要となる」と捉えていただいたほうが良いかもしれません。
もっとシンプルにクリティカルシンキングが必要な理由をお話しします。

クリティカルシンキングは正しい意思決定や判断を導く

クリティカルシンキングは、自分の中の常識、つまりは思い込みや先入観を捨てて考えます。それは、主観的な感情や意見を排除し客観的な視点や観点で情報を処理することになるため、より公正で偏りのない意思決定や判断ができることになります。不確実性の高い現代社会では、主観的な意思決定や判断による経営ミスの危険性は高まっていると言えるでしょう。

クリティカルシンキングは本質的な問題や課題が発見できる

クリティカルシンキングでは、物事の前提となっている条件から見直しや判断をしていきます。前提が間違っていると表面的にしか解決しない場合や、本質的な問題・課題を見落とすケースが多くなります。本質的な問題・課題を発見することで解決への道筋が明確になるのです。

クリティカルシンキングがリスク回避になる

クリティカルシンキングで、客観的な情報の分析や物事の前提の見直しをすることによって、それまでは気づくことのできなかった物事の本質の部分に焦点が当たるようになります。リスクというものは突如として表れるものではなく、徐々に進行していきます。いち早く本質に気づくことが、結果としてリスクを回避できるようになるのです。

クリティカルシンキングでコミュニケーション力があがる

クリティカルシンキングでは、個人的な感情や主観的な意見を含むことなく、客観的な事実と情報に基づいて話し合います。チームコミュニケーションでは、知らず知らずのうちに、互いに相手の意見や考えを自分の主観によって評価してしまうことがあります。すると、「どうせ言ってもムダだから」「結局は否定されて終わるから」と話し合いどころか会話すらなくなってしまうことも起こるのです。

クリティカルシンキングの例題

ではここで例題を考えてみましょう。事例研究として職場における育成問題をあげてみます。
下記の例題に対して、クリティカルシンキングを意識して考えてみてください。

例題

例題:自主性のある職員が育たない!
言われたことはきちんとこなすし、業務もしっかりと行っている。でも積極的とは言えない。よく言えばマイペースと言えるのかもしれないけど、周囲との連携が不十分でも気にしている様子もない。もっと周囲をよく見て自分から率先して動いてほしい。
ここ最近、上記のような部署が増えているようだ。

例題に対する仮説

仮説:「ハラスメント」が気になって指導に消極的なのでは?
このケースで、「なぜ、自主性のある職員が育たないのか?」という問いを考えたとき、ある仮説が生まれました。それが『指導する立場の上司や先輩が、「ハラスメント」だと言われてしまうことが不安で何も言えなくなっているのではないか?』ということです。特に、ここ最近という例題の事案では信憑性の高そうな仮説ではないでしょうか?

例題に対するクリティカルシンキングの例

前提を見直す:「自主性のある職員」とは具体的にどのような職員を言うのか?
上記の仮説は「自主性のある職員が育たない」という前提のもとに考えています。
クリティカルシンキングは、その前提から見直すことです。「なぜ、自主性のある職員が育っていないと言えるのか?」「どのような職員であれば自主性があると言えるのか?」など、「自主性のある職員が育たない」が事実なのかどうかも含めて考えるのです。

クリティカルシンキングを身につける方法

クリティカルシンキングは思考法の一つなので誰でも身につけることができます。
しかし、我々は主観(個人的な感情や思い込み、先入観など)から物事を捉えて考えることが多く、クリティカルシンキングを理解したからと言ってすぐにできるわけではありません。

クリティカルシンキングを身につけるためには、意識をしてその機会を増やすことが重要です。
幾つかのポイントをご紹介します。

第三者視線を意識する

主観そのものが悪いということではありません。主観だけにとらわれてしまうこと、主観のみで結論に結びつけることが誤った意思決定や判断を招く危険性が増すわけです。

そこで必要なのが第三者視線の意識です。
仮に、主観で結論に至ってしまったとしても、その結論を第三者視線で見直すことで見落としていた問題、見逃していた課題などが見えてきます。
第三者視線を強く意識して物事を捉えるようにすれば、客観的に考える機会も増えていきます。

事実を基に発言する習慣をつける

「だいたい」「いつも」「みんな」など、曖昧で不確実なことを事実のように話してしまうことも要注意です。「あの人が作業をするといつもミスが起こる」は事実なのでしょうか?その人が、何回作業をして必ず毎回ミスをしているかなど根拠とする数字やデータは揃っているのでしょうか?根拠になる事実を示すことができないままこのようなことを話すのは、それこそ思い込みや決めつけでしかありません。

数字やデータを根拠に事実を述べるからこそ、説得力のある発言ができて前向きな話し合いができるというものです。

正しい情報を集める習慣をつける

事実を根拠として話すためには、正しい情報を集めることが重要になります。
では、正しい情報を集めるにはどうしたら良いのでしょうか?

ニュース、インターネット、各種SNSなど、激しい情報化社会でありとあらゆる情報が手に入る現代では、どの情報が正しいのか、信用できる情報源はどこかなど注意すべきことが多いのです。一つの情報だけを鵜呑みにせず、常に同じ情報源だけにとらわれず、一つの事象に対して幾つもの情報から精査して判断するクセを付けていくことが重要です。

先ほどお話した第三者視線にも通ずるものですが、我々は自分にとって都合の良い情報を正しいと思い込んでしまうことが多々あります。
だからこそ、「その情報は本当に正しいのか?」と立ち止まって考えることが重要なのです。

研修を実施する

もちろん、日常の業務や生活の中でクリティカルシンキングのスキルを身につけることは可能です。
しかしながら、日々、業務にも時間に追われてしまう状況にあっては、スキルを身につけることもさることながら「どのようにしてスキルを身につけていくのか」を考えることも難しい現実があるのではないでしょうか?

研修ではケースステディやフレームワークなど、事例研究・ディスカッション・演習を通して効率的に理解とスキル習得を進めることができます。
目標達成や課題解決にお困りの職場・組織だけではなく、現状をより良くしたい、今こそ何かを変えたいという思いにも役立つ内容です。

当社では、医療機関や介護施設向けのクリティカルシンキングが身に付く研修を実施しています。
医療機関向け管理職研修はこちら
介護施設向け管理職研修はこちら

まとめ

いかがでしたでしょうか。クリティカルシンキングに対してのご理解、あるいはご興味は得られましたでしょうか?
冒頭でクリティカルシンキングは経営者や管理職に必須と述べましたが、すべての職員が身につけることで、職場の活性化や組織の成長発展に高い効果を発揮することは明らかです。職場組織全体でクリティカルシンキングの習得に取り組み、この不確実性の高い現代社会でも成長発展をし続けることを目指しましょう!

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