組織を強くするモチベーションコラム
人材定着

【定着率向上!】新人研修カリキュラムの重要ポイントを解説

早期離職防止対策には新人研修の実施が有効な手段


「せっかく採用した新入職員がすぐに辞めてしまう」
これは多くの法人が抱える悩みだと思います。

厚生労働省の発表によると、令和2年度時点で新規学卒就職者(平成30年3月卒業者)の就職後3年以内の離職率は、全業界で見ると、新規高卒就職者で36.9%、新規大卒就職者で31.2%となっています。

また、医療・福祉業界で見ると、新規高卒就職者で46.2%、新規大卒就職者で38.6%となっており、全業界平均よりも高い離職率となっております。
〈出典〉厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」

新入職員の早期離職防止のために、有効な手段の一つとして「新人研修の実施」が挙げられます。適切に研修を行うことで、新入職員がいち早く現場で活躍できるようになり、モチベーション高く仕事に向き合えるような体制を作ることができます。

そうはいっても、新人研修って一体何をすればよいのか?
本稿では、早期離職を防ぎ、定着率を高めるために新人研修で行うべきことについて解説していきます。

新人研修の目的とは?

新人研修を実施するためには、前提として明確な目的の設定が必要になります。
新人研修を行う目的とは何でしょうか?

そもそも新人研修とは?

新人研修とは、新しく入社した職員や新たに配属された職員に対して、組織や仕事のルール、業務内容、会社の文化などを学ばせる重要な研修です。

多くの場合、会社の沿革から経営方針、企業理念を理解させた上で、正しいビジネスマナーや業務上必要な知識などを習得させる、という流れで研修を行います。

新人研修の目的は?

一般的に、以下のような目的をもって行われることが多いです。

■仕事の理解と知識・スキルの習得
特に学卒入社の場合、ほとんどが入社時点では現場での仕事経験は無く、必要な知識やスキルもありません。中途入社の方でも、業界未経験の方や、経験が十分でない方もいらっしゃいます。そして、学卒であれ中途であれ、今の組織に入るのは初めての経験です。

新人研修では、当組織の現場での仕事の理解や現場で使う知識・スキルの習得を促すことで、少しでも早く現場に慣れ、即戦力として活躍できるようにすることを目的とします。
また、慣れない環境下での心理的なストレスを軽減する、という目的もあります。

■組織文化の浸透
法人の理念・ミッション・ビジョンなど、仕事をする上で常に意識をするべき組織の方向性を早い段階から伝えておくことで、組織の考え方に納得をし、組織のために頑張ってくれる人材を育成するという目的があります。

入社したばかりの職員の場合、上司・先輩から指示されたことをこなすのに精一杯で、何かを考える余裕もない状態です。しかし、3ヶ月~6ヶ月程度経過していくうちに、徐々に仕事にも余裕が出てきます。そうすると、ふと「この仕事は何のためにやっているのだろうか?」「この仕事は誰かのためになっているのだろうか」等の疑問が芽生えることがあります。この疑問に対して明確な答えが見出せない状態が続くと、仕事に対するモチベーションが下がってしまったりします。

法人側が、初期の段階から組織の方向性や考え方についてしっかりと説明をし、理解・共感を促すことによって、新入職員側は、「何のための仕事なのか」ということに対しての答えを見出し、納得をしながら仕事を進めることができるようになります。

■新入職員同士の親睦を深める
新人研修は研修の場でもあり、コミュニケーションの場でもあります。
新人研修によって同期の横のつながりを強化し、お互いに切磋琢磨したり、フォローし合ったりするような体制を作ることを目的とします。

特に新入職員が様々な場所に配属され、普段はあまり顔を合わせないような環境の場合、「新人研修で同期に会えることが楽しみ」「新人研修が憩いの場になっている」と感じる新入職員も多くいます。

横のつながりを強化することで、良い意味で競争原理が生まれて新入職員のレベルアップが早まったり、辛い・苦しい状況をフォローし合いながら乗り越えたりと、様々な良い効果が見込めます。
(※ただし、過度な競争の促進は、逆にモチベーションを下げる可能性がありますので、ご注意ください)

■社内コミュニケーションの促進
新人研修によって社内のコミュニケーションを促進する、という目的もあり得ます。
新人研修での新入職員の様子、達成度などを現場の先輩・上司にも共有することで、現場ではそれをもとにしたコミュニケーションが生まれます。

先輩から「●●くん、この前の新人研修で頑張っていたそうだね!」などと声をかけられたら、新入職員は良い気持ちになるはずです。
また、新人研修での様子を踏まえた上で、それを現場の指導に活用する、という目的もあります。

■コンプライアンスの浸透
特に学卒の新入職員については、社会人経験が無いために、当たり前のルール、意識しなければならない倫理観等が欠けている場合が多いです。新人研修では、新入職員が一堂に会し、同じ人から同じようにルールや倫理観を学ぶということを実施することによって、コンプライアンスに関する意識を一定水準に統一する、という目的もあります。

これを実施せずにいると、新入職員が現場で大きなミスなどを起こしてしまい、大きな問題に発展してしまったり、新入職員が責任を感じて気を病んでしまったり、といった事態に陥る危険があります。

定着率を高める新人研修のカリキュラムとは

では、新入職員が現場で活躍できるようになり、早期離職を防止するためにはどのような新人研修を実施すればよいのでしょうか。

研修カリキュラムとは?

研修カリキュラムとは、教育・訓練・学習などの目的で用意されるプログラムや計画のことです。
新人研修の場合は、研修を受ける職員の業務内容や成長にあわせて、段階的に研修カリキュラムを作っていく必要があります。

1回の研修で全てのことを扱い終えるということはあり得ません。
また、研修で扱った内容は、現場で実践できていなければ意味がありません。

人によってスピードは異なりますが、人は時間が経つにつれて徐々にできなかったことができるようになり、成長していくものです。その成長に合わせて、入社直後→入社3ヶ月→入社6ヶ月などといくつかのステップを踏んで新人研修を終えていく必要があります。

今回は新人研修に対して特に有効な3つのカリキュラムをご紹介します。

スタートアップ新人研修のカリキュラム(入社直後)

組織文化の理解、現場での仕事の理解、知識・スキルの習得、基本的なマナーの習得を目的とし、現場での仕事にスムーズに移行できるような人材を育成します。

<研修カリキュラム例>
・オリエンテーション(親睦を深める)
・企業理念の理解(企業理念を現場で実践するイメージを持たせる)
・ビジネスマナー(職場でのあいさつ、電話対応など)
・ビジネスコミュニケーション(報連相、指示の受け方など)
・現場で必要な専門知識・スキル(PCスキル、各種社内ツール、マニュアル解説など)

フォローアップ新人研修のカリキュラム(入社後3ヵ月~1年)

現場での仕事にも慣れてきた頃くらいから、モチベーションが下がり気味の職員が現れ始めます。そのような時期にフォローアップ研修を導入することで、気持ちをリセットし、心機一転また頑張れるようになります。

<研修カリキュラム例>
・業務振り返りと共有(入社から現在までの業務を振り返り、共有することで自信をつける)
・コミュニケーションスキル(聴く・伝えるなど、基礎的なスキルを身に付けることで、職場での信頼関係構築をできるようにする)
・レジリエンス(ストレスをコントロールする方法を学ぶ)

新人研修担当者向けの育成カリキュラム

こちらは新人職員向けではなく、現場での教育担当者向けの研修です。新入職員の定着率を高めるには、新入職員への教育と併せて、現場の教育担当者の育成力強化が必要になります。
そのためには、以下のようなカリキュラムを実施します。

<研修カリキュラム例>
・教育担当者の役割理解
・信頼関係構築のためのコミュニケーションテクニック
・後輩のやる気を引き出す指示の出し方・伝え方
・教育計画の立て方と実践

まとめ

新人研修を適切に実施することは、組織のためでもあり、お客様のためでもあり、その組織を選んで入職した新入職員のためでもあります。新入職員が1年後どのような職員になっているか、それはその職員のためにどんなことをしてあげられたかにかかっています。
上記カリキュラムが新人研修の実施のお役に立てていれば幸いです。

当社では、医療機関や介護施設向けの新人研修を実施しています。

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